製造の現場でも注目が集まる「リスキリング」とは? | [e仕事]

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製造現場にこそリスキリングが必要なのはなぜか? 背景から詳しく解説

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の文脈で、その重要性が語られることの多いリスキリング。実は製造現場でもきわめて重要な概念です。その理由とともに、日研での取り組みを紹介します。

近年、リスキリング(reskilling)という言葉がニュースでよく取り上げられています。文字通りスキルをアップデートすることですが、経済産業省では次のように定義しています。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得すること/させること」

なぜ今、リスキリングが注目されているかを理解するには、この定義に加えて、「テクノロジーの進化」についてもセットで押さえておく必要があります。

現在は第4次産業革命の真っ只中にあり、社会は目まぐるしい速度で変化しつつあります。第4次産業革命とは、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータを活用した技術革新を指します。

そんななか、多くの企業が生き残りをかけてDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、新規事業を立ち上げたり、既存事業においても最新テクノロジーを積極的に導入したりと、ビジネスを大きく進化させようとしています。

このとき必要になるのが、新たな技術に対応できる人材です。現状はその担い手が圧倒的に不足しているため、リスキリングの重要性が叫ばれているのです。

もともと欧米ではリスキリングに関する議論が活発です。テクノロジーの進化によって、従来のスキルが陳腐化し、大量の失業者を生み出しかねない。そんな危機感が広く共有されているからです。日本においてはまだそこまで関心が高まっていませんが、こうした議論がより本格化してくることが予想されています。

実際すでに、変革の波は国内の製造現場にも押し寄せています。手作業で行っていた工程が機械化され、さらにロボットによる自動化が進むなど、作り方そのものが従来とは様変わりしつつあります。それまで重宝されてきた長年の経験や勘、熟練の技などに替わって、AIやロボットを使いこなすスキルなどが新たに求められるようになっているのです。

見方を変えれば、こうした大変革は、技術者としての市場価値を高めるチャンスでもあります。まずは、将来どんなスキルを強みにしてキャリアを築いていくべきか、戦略をしっかり練る必要があります。そして、目指す姿や、目標とする到達点を設定し、現在地との間のギャップを正しく捉え、身につけるべきスキルを見定めることが重要です。確かな現状認識からリスキリングはスタートします。

日研では現在、スタッフ一人ひとりのスキルが陳腐化しないよう、リスキリングの支援に注力しています。例えば下記のように、製造現場における仕事の現在と未来の姿を見定め、各種研修に反映しています。10年後も20年後も強く生きていけるように、ぜひ日研の未来を見据えた研修制度をご活用ください。

【現在】保全・メンテナンス

機械の故障に対応したり、故障前のチェックと部品交換また発生源対策を行うのが保全・メンテナンスの仕事です。製造現場、大型商業施設、衛生処理施設など、機械が稼働するあらゆる現場で活躍しています。

【未来】予兆技術が進歩!修理もAIがアシスト

機械が活躍する場の広がりと共に、保全・メンテナンスの仕事も増え続けます。ただ、今よりも故障予兆技術が進歩し、故障前に多くの部品の劣化や摩耗状況を自動的に判断しアラートを出すことにより適切な交換ができるようになります。また、データの蓄積情報からAIが過去のデータを基に最適な修理方法(手順)を導き出してくれるので、未来の保全・メンテナンス作業者は、経験のない問題にもスムーズに対応可能となるでしょう。

【現在】生産管理者

生産ラインのマシン操作・品質維持やスタッフ管理などのマネジメント業務を行う生産管理者は、いわばものづくり現場の「司令塔」。自らも作業を担当しながら、スタッフの育成・指導やメーカー担当者とのやりとりを担います。また、4M(人、機械、材料、方法)における効率の良い生産方式を考え、生産管理の改善に取り組むのも大事な仕事の一つです。

【未来】人と機械、そしてシステムのマネージャーに

生産現場は今よりも少人数で稼働するようになりますが、生産管理者の役割は変わらず重要であり続けます。生産管理者の未来の仕事は、人と機械、そしてシステムがスムーズに連携しトラブルなく生産を行えるよう気を配ることになるでしょう。

【現在】組み立て作業

組み立て作業とは製品を作るための各種部品やパーツなどを、手作業で組み立てる仕事です。繊細な電子製品の組み立てや検査なども担います。

【未来】オペレーターとしてラインの安定稼働を支える

人間にしかできない繊細な作業や小ロットな作業はゼロにはならないものの、着実に機械化が進みます。一方で、機械に作業プログラムを入力したり、ロボットの動きを監視することが必要になります。そこで組み立て作業者はマシンオペレーターとして、機械に作業指示を出したり監視することで、安定的に製造ラインを運営する役割を担っていくことになるでしょう。

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