アーク溶接のやり方・資格・技能講習をわかりやすく解説|半自動溶接・電気溶接との違いとは?
2025/11/27
「アーク溶接って、どんな仕事?」「資格がないとできないの?」――この「アーク溶接」の言葉は、製造業や建設関係などの求人で頻繁に見かけますが、実際にどんな作業なのか、イメージできない人もいるかもしれません。
アーク溶接は、金属同士をしっかりつなぐために欠かせない技術で、工場や製造現場で幅広く使われています。やり方はシンプルですが、慣れるまでは少しコツも必要です。
この記事では、アーク溶接の特徴や、ほかの溶接方法との違いをまとめ、必要な資格や講習、さらに実際の現場のリアルまでを解説。これから製造・工場の仕事を目指す人に向け、アーク溶接の基礎知識を網羅します。
アーク溶接とは

アーク溶接とは、電気の力を使って金属を溶かし、つなぎ合わせる溶接方法のひとつです。電極と金属のあいだに強力な電流を流すことで「アーク」と呼ばれる高温の放電現象が発生し、その熱によって金属を溶かして接合します。
アークの温度は数千度に達し、溶けた金属同士が冷えることで一体化する、というのが基本の仕組みです。作業は「溶接棒(電極棒)」と「母材(くっつけたい金属)」を使って行われ、熟練すると細かい部分や厚みのある金属でもしっかり接合できることが大きな特徴になります。
アーク溶接の仕組みと特徴
アーク溶接は、電気による高熱を使って金属を溶かすという、非常にシンプルな原理です。しかし、そのシンプルさのなかに、さまざまな技術的な工夫や安全管理が求められます。
- 電流の強さによって溶ける範囲が変わる
- 電極の角度・距離によって仕上がりが左右される
- 火花やスパッタ(飛び散る金属)が発生するため、保護具が必須
また、溶接棒の外側にある「被覆(ひふく)」が溶けることでガスが発生し、金属が酸化するのを防ぐシールド効果もポイントです。これは、空気中の酸素や水分によって接合部が弱くなるのを防ぐための重要な機能といえるものです。
アーク溶接が使われる現場と製品の例
アーク溶接は、金属を扱うあらゆる現場で使用されている基本技術です。とくに次のような分野で広く活用されています。
- 建設業(鉄骨・橋梁の接合など)
- 造船(船体フレームや外板の溶接)
- 鉄工・配管(鋼材の接合・補強)
- 自動車部品や産業機械の製造現場
工場だけでなく、現場に出向いて溶接を行う「出張溶接」や「現場溶接」の仕事も多く、作業内容も幅広いことから、現場ごとに求められるスキルも変わってきます。
このアーク溶接の資格を持つ溶接工は、さまざまな現場で重宝されることから、未経験からスキルアップを目指せる職種としても注目されています。
ほかの溶接方法との違い
アーク溶接は数ある溶接技術のなかでも基本的な手法とされており、現場では「半自動溶接」や「TIG溶接」「ガス溶接」など、複数の方法が使い分けられています。
それぞれの特徴を知ることで、アーク溶接がどんな場面に向いているのかが見えてきます。
アーク溶接と半自動溶接の違い
アーク溶接と半自動溶接は、どちらもアーク放電を利用して金属を溶かす仕組みは同じです。大きな違いは、溶接棒の供給方法と操作性にあります。
| アーク溶接 | 半自動溶接 | |
|---|---|---|
| 電極の供給 | 手動で溶接棒を交換 | ワイヤが自動で送り出される |
| 操作性 | 両手を使い分ける必要あり | トリガー操作で片手でも可能 |
| 作業スピード | ややゆっくり | 連続作業に向いている |
| 向いている現場 | 小規模作業・補修など | 量産ライン・厚板の接合など |
このように、半自動溶接は高い生産性が強く求められる現場で多く使われており、スピードと安定性を重視する作業に適しています。
一方、アーク溶接はシンプルな構造のため装備が少なくて済み、屋外作業や細かい調整が必要な補修作業などにも向いています。
TIG溶接・ガス溶接との違いと使い分け
TIG溶接は、タングステン電極を使い、ガスで金属を保護しながら溶接する方法です。火花が出にくく、見た目のきれいな仕上がりになるため、精密機器や薄板金属の加工に多く使われます。その反面、操作には繊細なコントロールが求められるため、習得にはやや時間がかかります。
ガス溶接は、アセチレンガスと酸素を混ぜて火を出すタイプの溶接で、加熱・切断作業にも対応できる柔軟性があります。ただし、火災リスクや屋外作業の不安定さから、現在ではアーク溶接や半自動溶接のほうが主流となっています。
「アーク溶接」と「電気溶接」はどう違う?
「アーク溶接」と「電気溶接」は、言葉として混同されがちですが、そもそもアーク溶接は電気溶接の一種です。
- 電気溶接:電気の力で金属を溶かす溶接方法全体を指す
- アーク溶接:電気溶接の中でも、アーク放電の熱を使った手法を指す
つまり、アーク溶接は電気溶接の代表的なひとつの手法であり、ほかにも「抵抗溶接」や「スポット溶接」などが同じカテゴリに含まれます。
ただし現場では「電気溶接」の言葉がアーク溶接を指していることも多く、文脈によって意味が変わる点に注意が必要です。
アーク溶接の基本的なやり方と上達のコツ
アーク溶接は原理こそシンプルですが、実際にやってみるとすぐに上手くできるわけではありません。とくに初心者のうちは、アークを安定させたり、ムラなく仕上げたりするのにコツが必要です。
ここではアーク溶接の基本的な流れと、上達するためのポイントを解説します。
アーク溶接の基本手順
アーク溶接の作業は、以下のようなステップで行います。
- 作業エリアの確認・金属の固定:溶接前に母材の位置をしっかり固定し、接合部分のサビや油を取り除きます
- 機材の準備と保護具の装着:溶接機を正しく設定し、面・手袋・皮エプロンなどの保護具を身につけます
- アークスタート(着弧):溶接棒の先を金属に近づけ、パチッと火花が飛ぶようにアークを発生させます。適切な距離と角度でないと、すぐに消えてしまうこともあります
- アークを保ちながら溶接:アークが安定したら、一定のスピードで移動させて金属を溶かしながらつないでいきます
- 冷却とチェック:溶接が終わったら、金属が十分に冷えるのを待ってから、外観や強度をチェックします
初心者がつまずきやすいポイント
アーク溶接に慣れていない人が最初につまずきやすいのが、「アークの距離感」と「手の安定」です。
- 溶接棒が近すぎるとくっついてしまい、アークが止まる
- 遠すぎるとアークが不安定になり、うまく溶けない
- 手元がぶれると仕上がりにムラが出やすい
最初は、アークの「ジジジ…」という音を手がかりに、距離と角度を覚えると上達しやすくなります。棒が減っていくのにあわせて手の動きを調整する感覚も大事です。
上達するためのコツと練習方法
資格講習の実技でも、はじめのうちはうまくいかないのが普通です。アーク溶接の上達には、「とにかく手を動かす」ことが何よりの近道となります。
【アーク溶接の上達のコツ】
- 短い距離を何度も繰り返して感覚をつかむ
- 自分の作業を動画で撮って、角度や動きをチェックする
- 熟練者の手元を見て、音やリズムをまねる
最初から完璧な仕上がりを目指すのではなく、アークが安定する感覚を身につけることが第一歩です。焦らず、基礎を繰り返しながら上達を目指しましょう。
アーク溶接のメリット・デメリット

アーク溶接は、長年にわたって現場で使われ続けている基本技術です。その理由は、シンプルで扱いやすく、さまざまな場面に対応できる柔軟性にあります。
一方で、火花や高温といった懸念もあるため、その特性をしっかり理解しておくことが大切です。
シンプルで応用が利く
アーク溶接の最大のメリットは、構造がシンプルで道具も少なく済むことです。溶接棒と電源があれば作業ができるため、屋外や仮設現場でも柔軟に対応できることが強みといえます。
また、溶接できる金属の種類や厚みの幅も広く、建設や造船、鉄工など、幅広い分野で使える基本技術として定着しています。熟練すれば細かい補修作業や高所作業にも対応できるなど、その汎用性の高さは他の溶接法と比べても大きなアドバンテージです。
火花・光・熱など安全面での注意点
一方、アーク溶接には、強い光(アーク光)や高温によるリスクがあります。作業中は火花(スパッタ)が激しく飛び散り、溶けた金属が肌に当たるとやけどの原因にもなります。
とくに注意したいのが、アーク光による「目焼け」です。これは、短時間でもアーク光を直視してしまうと、目が炎症を起こしゴロゴロした痛みや涙が出る状態になるもので、慣れた人でもうっかりやってしまうことがあります。そのため、次のような保護具は必須です。
- 溶接用面(自動遮光タイプが主流)
- 革手袋・前掛け・アームカバーなど
- 火花に強い作業着(化繊NG)
こうした安全管理さえしっかりしていれば、リスクは大きく軽減できます。講習や現場にて、道具の正しい扱い方を学ぶことが、安心して作業を続けていくポイントです。
「きつい」「暑い」「目が焼ける」現場のリアルな声
アーク溶接は体を動かす作業工程が多く、夏場の暑さや姿勢のきつさを感じやすい仕事でもあります。
- 面をかぶるため視界が狭い
- 暑い日でも長袖・防護具が必要
- スパッタが足元に飛んで熱い
- 長時間の作業で腕がパンパンになる
こうした点から「きつそう」というイメージを持たれがちですが、実際の現場では慣れてしまえば問題ないという声も多く聞かれます。
また、体を動かすのが好きな人や、「ものづくりが形に残る」ことに達成感を感じる人にとっては、やりがいのある仕事といえるでしょう。
アーク溶接の資格・技能講習と働くまでの流れ
アーク溶接の仕事に興味があっても、「資格がないと働けないのかな?」「講習ってどんな内容?」など、気になる点は多いはずです。
実際には、資格が必須な作業と、無資格でできる作業の違いを理解しておくことが重要になります。ここでは、アーク溶接に関連する資格や講習、未経験から始めるためのステップをまとめます。
アーク溶接作業者の資格とは
アーク溶接を業務として行うには、厚生労働省が定める「アーク溶接等の業務に係る特別教育」を受ける必要があります。これは厳密には「資格」ではなく、安全に作業を行うための法定講習(特別教育)の位置づけです。
- 教育時間:学科6時間+実技4時間(合計10時間)
- 実施機関:労働局認定の研修機関、または企業内研修
- 修了証:受講後に「特別教育修了証」が交付される
この講習を修了していないと、企業側もアーク溶接の業務を担当させることができません。現場に入る前には、ほぼ必須のステップとなります。
講習内容と受け方・費用
特別教育の講習は、地域の安全衛生協会や各種研修センターなどで受講できます。費用は10,000~20,000円前後が一般的で、1日または2日間で修了できる場合が多いです。
講習の内容は、以下のような基本的なものが中心になります。
- アーク溶接の原理と危険性
- 溶接機器の取り扱い方法
- 火傷・感電などのリスクと対策
- 基本姿勢・動作などの実技練習
なお、企業によっては入社後に講習を受けさせてくれるケースもあるため、未経験でも応募できる求人も多く見られます。
未経験から働くにはどうすればいいか
アーク溶接の仕事は、未経験からスタートする人も多い分野です。現場では、最初から難しい作業を任せられることはほとんどなく、まずは補助作業や簡単な作業から始めて、徐々に技術を覚えていく、次のような流れが一般的です。
- 最初はグラインダー作業や材料の準備などから
- 先輩の溶接を手伝いながら技術を学ぶ
- 講習を受けて、簡単な溶接作業から実務デビュー
また、求人のなかには「資格取得支援あり」「未経験OK」といった条件がついているものも多く、意欲があればスタートしやすい職種といえます。
アーク溶接の仕事の適性
アーク溶接は、経験や技術が問われる職種ですが、未経験からでも始められるため、向き・不向きを事前に理解しておくことが重要です。
ここでは、どんな人がこの仕事に適しているのか、また注意すべきタイプもあわせて解説します。
向いている人の特徴
次のようなタイプの人は、アーク溶接の仕事に向いていると考えられます。
| 手を動かして作業するのが好きな人 | 同じ姿勢で集中して作業することが多く、手先の器用さを活かせます |
| 細かい作業でもコツコツ取り組める人 | 溶接は「見た目のきれいさ」や「溶け込みの深さ」が重視されるため、丁寧な作業ができる人に向いています |
| 暑さや重装備に耐えられる人 | 保護具を着けたうえで火花と熱にさらされるため、ある程度の体力は必要です |
| ものづくりにやりがいを感じる人 | 「自分が加工した部品が製品になる」という実感が大きく、達成感も強い仕事です |
また、資格取得や経験を積めば、手当の支給や昇給、現場での評価アップにもつながる職種なので、地道にスキルを高めていきたい人にとっては大きなチャンスになります。
向いていない人の傾向と注意点
一方で、次のような傾向がある人は注意が必要です。
| 暑さ・汗・粉じんなどが苦手な人 | 夏場はかなり蒸し暑くなるため、体力や汗対策が不可欠です |
| 姿勢を保つのが苦手な人・腰痛がある人 | 中腰・しゃがみ姿勢での作業が多く、腰や膝への負担は大きめです |
| すぐに結果が出ないと焦る人 | 技術の習得には時間がかかるため、最初は思うようにいかなくても、地道に練習できるかがポイントです |
とはいえ、これらは慣れや現場の工夫で改善できることも多いため、「やってみたい」という気持ちがあるなら、まずは挑戦してみる価値は十分でしょう。
まとめ
アーク溶接は、電気の力で金属をしっかり接合する、ものづくりの基本ともいえる技術です。建設や鉄工、造船など、さまざまな現場で必要とされており、未経験からでも講習を受ければ挑戦しやすい仕事といえます。
- アーク溶接は、道具がシンプルで応用範囲が広い
- 他の溶接方法とは、操作性や仕上がりなどに違いがある
- 講習(特別教育)を受ければ、未経験でも現場に立てる
- 火花や熱などの大変さはあるが、安全対策でカバーできる
- 手に職をつけたい人には、大きな武器になるスキル
作業には体力や集中力も求められますが、「手に職をつけたい」「金属加工に興味がある」という人にとっては、スキルアップ・キャリアアップにつながる有望な分野です。自身の適性とも照らし合わせて、就業やスキルアップを検討してください。
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