製紙業の仕事内容と将来性は?工場勤務の働き方や働くメリット・デメリットを解説
2025/12/19
製紙業というと、「紙離れで先細りなのでは」と不安に感じる人も少なくありません。しかし実際には、新聞・雑誌向けの洋紙は減少する一方で、通販用段ボールや衛生用紙などの分野は堅調で、工場の稼働も高水準を保つケースが多く見られます。脱プラスチックの流れから、紙パッケージや新素材への注目も高まっています。
こうした変化の中で、製紙工場の現場では大型設備のオペレーションや品質管理、メンテナンスなど、専門性の高い仕事が多数あります。
本記事では、製紙業界全体の動きから工場の具体的な仕事内容、メリット・デメリット、適性までを順番に解説します。
製紙業の現状と将来性
製紙業は、紙の使われ方の変化に合わせて構造転換が進んでいる産業です。
- ペーパーレス化による洋紙需要の減少
- EC拡大で段ボールなど板紙の需要は堅調
- CNFなど新素材や脱プラ製品への期待が拡大
経済産業省などの資料でも、国内の紙・板紙需要は長期的には緩やかに減少する一方、用途を転換しながら付加価値の高い分野へシフトしていると分析されています。紙そのものがなくなるわけではなく、「どの用途の紙を作るか」が重要な時代になっていると言えます。
ペーパーレス化による「洋紙」の減少
新聞や雑誌、オフィス用コピー紙などに使われる洋紙は、デジタル化の進展とともに需要が縮小してきました。電子書籍やオンラインニュース、ペーパーレス会議の普及により、印刷・情報用紙は中長期的な減少傾向にあります。
この流れを受けて、製紙メーカーは新聞用紙マシンの停止やライン転換を進めるなど、設備の見直しや事業ポートフォリオの再構築を行っています。紙という素材自体は残るものの、従来型の洋紙だけに依存するビジネスモデルは変化を迫られている段階です。
通販拡大による「板紙(段ボール)」の増加
一方、ネット通販やフードデリバリーの拡大に伴い、段ボールなどの板紙需要は堅調に推移しています。商品を保護し、届けるための梱包資材として、段ボールは不可欠な存在であり、EC市場の拡大と連動して伸びているのが実態です。
オンライン化が進むほど、「データ」は増えても物理的な荷物も同時に増えるため、運ぶための紙は簡単には代替されません。この分野を強化するため、洋紙から板紙へ生産をシフトするメーカーも増えています。
新素材「CNF」や脱プラ製品への期待
最近注目されているのが、木材由来の次世代素材「セルロースナノファイバー(CNF)」です。軽量で高強度という特徴を持ち、自動車部材やフィルム、インク、バリア素材など、さまざまな用途が検討され、実用化が進みつつあります。
また、脱プラスチックの流れから、紙ストローや紙パッケージ、バリア紙など環境配慮型のパッケージ素材も拡大しています。プラスチック代替の分野で紙の役割が見直されており、製紙業は単なる「紙づくり」から、環境素材メーカーとしての位置づけを強めつつあります。
製紙工場の主な仕事内容
製紙工場の仕事は、大きく次の四つの役割に分けられます。
- マシンオペレーター(抄紙工程)
- 加工・仕上げ・検品担当
- 設備保全・メンテナンス担当
- 原料投入・古紙処理担当
工場によって担当範囲は変わりますが、いずれも巨大な設備を動かしながら安定した品質で紙を作ることが共通のミッションです。未経験入社の場合は、まず補助作業から入り、徐々に機械操作や点検業務へステップアップしていく流れが一般的です。
マシンオペレーター(抄紙工程)
抄紙工程では、パルプを水に溶かしたスラリーをワイヤー上に流し、圧搾・乾燥して紙の原反を作ります。マシンオペレーターは、この巨大な抄紙機の運転・監視を行い、紙の厚さや水分、速度などの条件を調整します。
機械の設定値やセンサーの値を確認しながら、紙切れ(断紙)が起きないよう微調整を繰り返す仕事です。トラブル発生時にはラインを止めて紙を取り除き、再稼働の段取りを組むなど、現場での判断力も求められます。
加工・仕上げ・検品
抄き上がった紙は巨大なロール(原反)の状態で出てくるため、用途に応じてスリッターやカッターで所定の幅や寸法に断裁していきます。この工程では、寸法、巻き具合、端面の状態などをチェックしながら、自動設備を操作します。
同時に、汚れや破れ、しわなどの欠陥がないかを検査設備や目視で確認するのも重要な役割です。品質トラブルを市場に出さない最後の砦となる工程であり、集中力と丁寧さが求められます。
設備保全・メンテナンス
製紙工場は24時間稼働が基本のため、設備を止めずに安定運転を続けることが大きなテーマです。設備保全担当は、定期点検や部品交換、突発的な故障対応などを通じて、生産ラインの稼働率を維持します。
電気・機械の知識を実務を通じて身につけられるため、スキルアップの余地が大きい仕事です。保全経験を積むことで、将来的に保全部門のリーダーや設備技術者へのキャリアアップも見込めます。
原料投入・古紙処理
原料関連の工程では、木材チップや古紙をパルパー(巨大な攪拌機)に投入し、パルプを作る前段階を担当します。フォークリフトやクレーンで原料を運び、投入量や配合を管理する仕事が中心です。
パープルリボンプロジェクト
古紙処理では、インキ除去や異物除去などのプロセスを経て再生パルプをつくります。リサイクルの要となる工程であり、資源循環の観点からも重要な役割を担っています。
製紙工場で扱う製品による職場環境の違い
一口に製紙工場と言っても、作っている製品によって現場の雰囲気や求められる体力、衛生管理の厳しさが変わります。大きく分けると次の二つのタイプがあります。
- 板紙・産業用紙(段ボール原紙など)を扱う工場
- 家庭紙・衛生用紙(ティッシュ・トイレットペーパーなど)を扱う工場
どの製品のラインで働くかによって、自分に合う・合わないが分かれやすいため、求人を見る際には製品カテゴリにも注目したいところです。
板紙・産業用紙(段ボール原紙など)
段ボール原紙などを扱う工場は、抄紙機やロールが巨大で、迫力のある製造現場になります。マシンも高速で回転しているため、音や振動も大きく、熱気を感じるエリアも多い環境です。
その分、ダイナミックな設備を扱うやりがいがあり、機械いじりが好きな人や体力に自信がある人に向いています。安全教育が徹底されているので、ルールを守りながら作業する姿勢が重要になります。
家庭紙・衛生用紙(ティッシュ・トイレットペーパー)
家庭紙を扱う工場は、肌に触れる製品を作るため衛生基準が厳しく、比較的クリーンな環境で作業します。クリーンルームに近いレベルの区域もあり、白衣や帽子、マスクの着用が徹底されているのが特徴です。
検品や包装ラインでは細かなチェック作業が多く、女性やシニア層も多く活躍しています。重いものを扱う場面が比較的少ないため、体力よりも丁寧さや集中力が求められる仕事が中心です。
製紙業で働くメリット
製紙業で働く魅力として、次の三つがよく挙げられます。
- 大手企業が多く経営基盤が安定している
- 未経験から国家資格・技能資格を取得しやすい
- 交替勤務の手当によって収入水準を高めやすい
装置産業ならではのスケールと待遇があり、長期的にキャリアを築きたい人にとって魅力的な選択肢になり得ます。
大手企業が多く経営基盤が安定している
製紙業は巨額の設備投資が必要な装置産業であり、新規参入が難しい分、大手グループ会社の比率が高い業界です。王子HD、日本製紙、大王製紙など、上場企業が複数存在し、連結売上も大きな規模を維持しています。
そのため、福利厚生や賞与、退職金制度が整っている企業が多く、長期的な雇用の安定を重視する人には適した環境と言えます。平均年収も製造業全体の中で比較的高水準の企業が目立ちます。
未経験から国家資格を取得できる
製紙工場では、フォークリフトやクレーン、玉掛け、ボイラー技士、危険物取扱者など、さまざまな資格が働きながら取得できます。会社が講習費用を負担したり、受験日を勤務として扱ったりするケースも多く、スキルアップを後押しする制度が整っている点が強みです。
これらの資格は業界共通で評価されるため、将来別の工場や関連産業へ転職する際にも武器になります。「工場で働きながら資格を増やし、技術職としてキャリアを築く」というルートを描きやすい業界です。
交替勤務による深夜手当で稼げる
製紙工場は抄紙機を長時間連続で運転するため、24時間稼働している場合が多く、2交替や3交替シフトが一般的です。夜勤や深夜帯に勤務すると、法定の割増賃金が加算されるため、日勤専属の仕事と比べて収入水準を高めやすい傾向があります。
ただし、年数回の定期点検や設備修繕でラインを停止する期間もあり、必ずしも365日稼働し続けるわけではありません。
交替勤務になじめば、若い年代から安定した年収を得やすく、貯蓄やライフプランの面でも有利になりやすい職種です。その反面、生活リズムの調整は重要になるため、自分の体質との相性を意識しておく必要があります。
製紙業で働くデメリット
一方で、製紙業には事前に理解しておきたい大変さもあります。代表的なものは次の三つです。
- 工場特有の臭いと高温環境が負担になる場合がある
- 交替勤務によって生活リズムが崩れやすい
- 機械トラブル時には迅速な復旧対応が求められる
こうした点を理解しておくことで、「思っていた仕事と違う」というミスマッチを減らし、自分に合った職場を見極めやすくなります。
工場特有の「臭い」と「暑さ」
パルプを蒸解する工程では、硫黄系の薬品を使う製法などの影響で独特のにおいが発生する場合があります。最近は脱臭設備が整った工場も増えていますが、風向きや天候によってにおいを感じやすい日もあります。
また、乾燥工程やボイラー周辺は高温になりやすく、夏場は暑さによる体力消耗が大きくなります。休憩や水分補給、空調設備の活用など、会社と従業員の双方で対策が欠かせません。
3交替勤務による生活リズムの乱れ
多くの製紙工場では、早番・遅番・夜勤などの3交替勤務が採用されています。勤務時間帯が定期的に変わるため、睡眠サイクルが乱れやすく、慣れないうちは疲労感が残りやすい働き方です。
休日もカレンダー通りとは限らず、4勤2休などシフト制ならではのパターンになります。平日休みを活かして役所や病院に行きやすいなどの利点もありますが、家族や友人との予定を合わせにくくなる面は意識しておく必要があります。
機械トラブル時の対応
抄紙機で紙が切れる「断紙」や設備不具合が起きると、生産ラインを止めて原因を確認し、復旧作業を行います。この間はライン全体が止まるため、できるだけ早く安全に再開させる段取りが求められます。
トラブル対応には、現場のチームワークと冷静な判断が欠かせません。突発的な対応が続くと精神的な疲れも出やすくなりますが、経験を積むことで「どう動けば早く安全に復旧できるか」が見えてくるようになります。
製紙業に向いている人の特徴
製紙業で長く働けるかどうかは、仕事内容との相性によって大きく変わります。向いている人の傾向としては次の三つが挙げられます。
- 機械操作やメンテナンスに興味がある人
- チームワークを大切にできる人
- 安定した環境で腰を据えて働きたい人
これらに当てはまるほど、現場の空気になじみやすく、キャリアを積み上げやすい業界と言えます。
機械操作やメンテナンスに興味がある人
製紙工場の中心は、巨大な抄紙機やボイラー、各種搬送設備などの大型機械です。機械の仕組みに興味があり、設定を変えたときの動きや結果を見るのが好きな人には、日々の仕事が学びの連続になります。
トラブル対応や改善活動を通じて、機械・電気の知識も自然と身についていきます。現場で培った経験は、他の製造業でも通用する汎用性の高いスキルとなります。
チームワークを大切にできる人
紙づくりの工程はすべてつながっているため、一つ前の工程の不具合が次の工程に影響し、ライン全体の生産性に直結します。そのため、情報共有や声かけ、応援体制など、チームとして動く姿勢が欠かせません。
自分の持ち場だけでなく、周囲の状況を見ながら動ける人ほど、現場から信頼されやすくなります。協調性を大事にする人には働きやすい環境といえます。
安定した環境で長く働きたい人
製紙業は、ティッシュやトイレットペーパー、段ボールなど生活や物流に欠かせない製品を扱う産業です。そのため、景気の変動があっても極端に需要がゼロになることは考えにくく、長期的な安定性が見込めます。
大手企業では平均勤続年数が20年を超えるケースもあり、一つの会社で腰を据えて働く人が多いのも特徴です。じっくりキャリアを積みたい人には相性の良い業界です。
製紙業に関するよくある質問
Q. 工場の臭いって服や体に染みつく?
多くの工場では、構内に入る前に作業着へ着替え、業務後に大浴場やシャワーを利用できる体制が整っています。そのため、帰宅時に強い臭いが残るケースはあまり多くありません。
Q. 女性でも普通に働ける?
ティッシュやトイレットペーパーなど家庭紙の検品・包装ラインでは、女性スタッフも多く活躍しています。フォークリフトや事務系のポジションなど、力仕事以外の職種もあるため、働き方の選択肢は広いと言えます。
Q. 資格なし・未経験でも平気?
製紙工場の現場では、未経験採用からスタートし、入社後に会社負担で資格を取得していくケースが一般的です。まずは原料運搬や補助作業から入り、徐々に機械操作や点検業務を任される流れが多くなっています。
Q. 製紙業界の平均年収ってどれくらい?
上場製紙メーカーの平均年収は500万〜700万円台の企業が多く、製造業の中でも比較的高めの水準とされています。交替勤務の手当や賞与を含めると、若いうちから安定した収入を得やすい業界です。
まとめ
製紙業は、ペーパーレス化の影響を受けながらも、段ボールや衛生用紙、環境配慮型パッケージ、新素材など、需要が伸びる分野へ舵を切りながら成長を続けている産業です。
工場現場では「臭い」「暑さ」「交替勤務」といった大変さはあるものの、その分、大型設備を扱う技術や各種資格を身につけられ、安定した待遇を得やすい仕事でもあります。
求人を探す際は、「どの製品を作っている工場か」「どの工程の募集か」「資格支援制度があるか」といった点を意識しながら、自分に合った職場をじっくり見極めていくとよいでしょう。
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